鶴多と雪だるま

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冬の間だけのお友達…

サクラの花の存在を知った雪だるまがそれを見てみたいと呟いた時最初は「見れるわけがないだろう」と小馬鹿にして笑ってしまったが共に過ごすうちに情が生まれいつしか見せてやりたいなと思うようになっていく。溶けぬようにと雪をかき集めて体を厚くさせるが開花する季節にギリギリ間に合わなくて…

冷蔵庫なんてないから(あるけど高級なので)溶けていくのに抗えなくて、体温すらも雪だるまには毒になってしまうので触れることもできず、ただ友達が小さくなっていくのを見ることしかできない… 小さな水たまりに問うても何も応えなくなったその日、桜の開花宣言がされたのであった。

「きみの体はあつくないから、からだがとけてしまわなくてうれしいな」「雪をたしてくれてありがとう…!」「もうすぐさくらの花がさくんだね、がんばるよ」 「見て…!つぼみがふくらんでる…やっと見れるよ…!」 せつないね………

溶けぬよう暗所ですごす雪だるま 雪「もう春はきた?緑になった?ちょっと外を見て見たいな」 鶴多「溶けてしまうから、少しだけだぞ」 外の雪解け水に手を浸す。氷のように冷たくなる自分の手。水に雪だるまが重なり胸が少し痛む。 今だけは体温がなくてよかったと思う…鶴多だった

「鶴多よ、貴様が楽しみにしてた例の桜とうとう開花したのである…おわっ、早速駆けていったか」 やっとお前が待ちにまった桜が咲いたぞ よくも雪の塊が今日日まで持ちこたえたものだ今日は褒めてやってもいい 嗚呼……、 「間に合わなかったのか…」と呟く鶴多少年の後ろ姿

小さくできた水たまりを桜の木に撒いて弔いとしましょう…

木の根に染み込んでいく雪解け水に向かって「桜の花はどうだ」とひとりごちるように尋ねる鶴多

少し時間が経ち、あの桜を待ちわびた雪だるまのように真っ白で満開の桜の木の下で花見をする主従がいるのかもしれない…

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